
あてもない夕暮れをぽつぽつ歩いた。
裕子は激怒した。それは激怒という言葉に相応しく、それ以外の何ものでもない怒り方だった。
私の隣に住んでいる人は、数日前から居ない。それを知っているのは私だけだ。
母親が呼ぶ声が聞えた。いつだって母親という存在は私を突然呼ぶ。雨のように、降る気配、というものに似たものすら見せない。
DVDを観ていたら電話がかかってきた。着信表示されているのは、つい先週会ったあの男の名前だった。
「明日は絵を観に行くのよ」すれ違いざまに携帯電話で話す声がそこだけくっきりと耳に入った。
小説の出だしを考えてみたのだが、どれもしっくりとは来なかった。
書いては消し、書いては消しを先ほどから何度も繰り返している。
小説の出だしというのはとてもありふれていて、その言葉の通り、本の数だけあるのだ。
始まり方は決まっていない。産まれ方は誰もが同じなのに、と呟かずにはいられなかった。

この日を待ってた 誰の目にも触れず
時は流れ 心も流れ 行き着く先はただ一つ
夢に見てたときを いざ目の前にして
涙が流れ 心は溢れ 跪くのが精一杯
綺麗なものに囲まれ
一切合財に気がつかず
私はここまでやってきた
この日を待ってた 誰も気がつかない
それを恐れず 何も迷わず
ありふれた言葉ばかりを並べ
小さな手を求めた ここはどこだろう
涙が流れ 心は溢れ 跪くのが精一杯
ずっと鏡を見ていた
それに気付いて目を閉じた
お前はここまで来てしまった
頼りないのは
見下ろした景色は
何もかもを破壊するだろう
流れる汗にそっと手を触れて
少し舐めてみた
生きた味がした
- taste of heart -
画像と内容は全く意味を成さず。
無題。
気付いたらだいぶほったらかしだったんだなぁ。





